基礎体温
基礎体温は排卵の時期や排卵後の黄体ホルモンの状態を簡単に知ることができる手軽な検査の一つです。毎朝面倒ですがなるべくつけてもらったほうが治療の参考になります。朝起きてすぐに腕だけ伸ばして婦人体温計をとって測定して記録してください。
の測定は、卵巣の働きを知るための最も重要な手段です。
朝起きて体を動かす前に婦人体温計で測定します。これを基礎体温表につけ、毎回来院する際持ってきていただきます。
排卵の有無や排卵後の黄体機能を判定します。
超音波検査
機械を膣の中に挿入する経腟超音波検査を行います。
この検査で最初は子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮腺筋症などの婦人科疾患がないかチェックし、不妊症治療に入れば卵胞の大きさ、数、子宮内膜の厚みなどをチェックしタイミングを見計らいます。
で施設名:経腟プローブという細い棒状の機械を腟内に挿入する経腟超音波断層装置で行います。 子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣嚢腫などが診断できます。
また子宮内膜の厚さ、卵胞の発育程度を正しく知ることができます。
フーナーテスト(性交後試験)
検査当日の朝か前日の夜の性交後に来院してもらい子宮の入り口に生きた精子がいるかどうかを調べる検査です。
頸管粘液を顕微鏡でみて動いている精子が少なかったり、いなかったりする場合は精子が子宮の奥に入ってないことが予想されます。その場合には人工授精が検討されます。
に3~4日禁欲して、排卵数日前~排卵日頃(医師の指定日など)の検査当日か前夜に性交渉をもって来院していただき、子宮口入口や子宮頸管内の粘液を採取します。
頸管内の精子が、あまり動いてなかったり精子が見つからない場合は頸管粘液が精子の通過を阻んでいる可能性も考えられます。
検査時のタイミングも重要で、不良の場合には複数回検査を繰り返して診断していきます。
抗精子抗体(血液検査)
フーナーテストの結果が悪かった場合に検査を行います。
抗精子抗体は女性側が精子を異物と判断して攻撃してしまう抗体です。
この抗体が高い場合には人工授精や体外受精を検討します。
精子を外部からの異物とみなして攻撃し排除してしまう抗体で、女性側にそのような抗体があると精子を拒絶してしまう原因となります。
抗体価の高さにもよりますが、強陽性の場合には早めのステップアップを考慮していきます。
<血液> |
血液中のホルモンを測定することで、卵巣の働きや、排卵障害の原因がどのホルモンの乱れによるものかを調べます。 |
FSH(卵胞刺激ホルモン)・
LH(黄体化ホルモン) |
脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンです。卵巣に働き、FSHは卵胞を育て、LHは排卵を起こし黄体を形成します。脳下垂体機能、卵巣機能を評価します。 |
エストロゲン(卵胞ホルモン) |
卵巣から分泌されるホルモンです。卵胞の発育や子宮内膜の増殖などを評価します。 |
プロゲステロン(黄体ホルモン) |
卵巣から分泌されるホルモンです。排卵の有無、黄体の働きが十分であるかを調べます。 |
プロラクチン(催乳ホルモン) |
本来分娩後授乳期間中に下垂体から分泌され、乳汁の分泌を促進させるホルモンです。 |
T4・TSH(甲状腺ホルモン) |
甲状腺疾患による無排卵や月経異常が無いかを調べます。 |
テストステロン(必要な場合) |
男性ホルモンの一種。女性でも副腎や卵巣から男性ホルモンが分泌されます。 |
内分泌負荷テスト(必要な場合) |
継時的に脳下垂体からのLH、FSH、PRLの分泌状態を調べる検査です。 |
<尿中LH> |
尿中のLHの量を測定することで、排卵時期を予測します。 |
子宮卵管造影検査
子宮の入り口からカテーテルを用いて造影剤を静かに注入し、レントゲンを撮ります。
この検査を受けることで、子宮腔の形、大きさ、卵管の通過性、狭窄の有無などがわかります。また子宮や卵管に造影剤を入れることで、卵管の軽度な癒着を広げる効果もあり妊娠しやすい状態への改善が期待できます。
各種ホルモン検査
当院のホルモン検査について不妊症治療では一度の治療がうまくいかなければ次回は一か月後になり貴重な時間を消費してしまします。そのために適切な検査、適切な治療で効率よく時間を無駄にせず治療を進めていく必要があります。採血の結果も数日後では、日々卵胞が育っている中では治療が後手後手になってしまい検査した意味すらなくなってしまいます。
当院では最新の検査機器を導入しており、不妊治療で必要なエストロゲン、プロゲステロン、LH、FSH、甲状腺ホルモン、プロラクチン、AMH(卵巣年齢検査)などが院内で約1時間で結果がでます。これによって採卵のタイミングやホルモン値のコントロールも効率よく的確な判断で行うことができます。
クラミジア検査
クラミジアの感染は不妊症の原因として重要なものの一つです。採血で抗体を調べることでお腹の中に潜むクラミジアまで調べることができます。卵管を詰まらせたりお腹の中で癒着を起こしたりするため卵子が卵管に取り込まれるのを妨げます。
血中の抗体を調べる検査と子宮頚部を麺棒で拭いその中にクラミジアがいるかを調べる検査があります。
クラミジアは卵管のまわりに癒着を起こしたり卵管を閉塞させたりする原因となる感染症です。
精液検査
射精された精液中の精子の状態を見る検査です。2~5日間禁欲後、採精容器に用手的に採取していただきます。
当院の精液検査について不妊症治療において男性側の原因も半分あると言われており精液検査は重要な検査の一つです。
精液検査の結果でタイミング法で良いのか、人工授精にするのか、最初から体外受精の方がいいのかなど治療の方針も定まってきます。当院の精液検査は特殊な精子特性分析装置を使って、ただ精子の運動率を測るだけでなく、受精の可能性が高い高速前進運動精子の数を調べ、より高度な分析で治療に役立てています。
精子の量、濃度、運動性から割り出した受精しやすさの指標である精子自動性指数(SMI)では160以上は優良な精子ですが、80未満は虚弱な精子で体外受精や少なくとも人工授精が勧められます。
AMH(抗ミューラー管ホルモン活性、卵巣年齢)検査
当院では院内の最新の検査機器でAMHの結果も1時間ほどででます。
AMHは今話題になっている卵巣年齢の検査ですが、治療方針を立てていく上で重要な検査の一つです。AMHは卵巣の老化度を見ているわけではなく、どれだけ排卵する能力が残されているかを調べる検査です。
卵の質については年齢が一番大きな要因でAMHでは判定できません。
AMHが低いということは残された排卵予定の卵子が少ないという事で、その中から質の良い卵子を引き出してこなくてはなりません。その値を参考にして治療のステップアップを早めたり、むやみに卵巣を過剰刺激しないようにしたり、体外受精に切り替える的確な判断をしたりして治療を進めていきます。
AMHの平均値は20歳代 5~8ng/ml 、30歳代 3~6ng/ml 、40歳代 1~3ng/mlが目安となります。例えば25歳の人のAMHが2ng/mlの値であれば、卵子の残りは40歳代の人とかわらないということになり、その結果、不妊治療においては的確な治療方針を立てて、無駄な時間を使わず適切に治療を進めていく必要があるということになります。
子宮鏡検査・手術について
胃カメラのようなスコープを子宮の中に挿入して子宮の内側の異常を調べる検査です。この検査で子宮の内側のポリープや小さい子宮筋腫、子宮内膜症も見つけることができます。
5㎜の細いスコープを挿入するために痛みも軽く麻酔や点滴の必要がありません。
当院の子宮鏡は見て検査するだけでなく、そのままポリープを切除したり子宮内膜症を電気メスで焼いたりすることができるので、手術を後日別に行う必要がありません。
子宮鏡検査で小さなポリープを見つけて切除することで体外受精での着床率の向上も期待できます。
検査の時期は月経が終わってすぐが適しています。
痛みに敏感でどうしても痛がる人の場合には麻酔も可能です。
子宮の入り口が固い人の場合には前もって子宮の頸管拡張をする場合があります。